JASRACってご存知ですか?
http://www.jasrac.or.jp/profile/intro/index.html
JASRACのサイトより引用しています。
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の英語表記は、
「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」です。
表記にありますようにJASRACは、
- 国内の作詞者(Author)、
- 作曲者(Composer)、
- 音楽出版者(Publisher)
などの権利者から著作権の管理委託を受けるとともに、海外の著作権管理団体とお互いのレパートリーを管理し合う契約を結んでいます。
とあるように、
『音楽を生み出した人の権利を守る』団体です。
とても、大切なことですよね。
作曲者にとって楽曲は、我が子のように大切に精魂込めて生み出した作品だと思います、
JASRACが担う仕事は、守られるべき人を守るための大切な業務だと思っています。
ではでは、何が問題なのか???私なりに、いろいろと考察してみました。
問題はどこにある?それぞれの主張を熟読
JASRACのHPより抜粋
どうしてこのタイミングで楽器教室における演奏等の管理を開始するのか?
回答< 楽器教室における使用料徴収については、2003年から楽器メーカー等と協議を重ねてまいりました。この間、管理著作物の演奏利用について、以下のとおり利用者団体との協議などを経て管理を順次開始してまいりました。
- 2011年4月からフィットネスクラブ
- 2012年4月からカルチャーセンター
- 2015年4月から社交ダンス以外のダンス教授所 (社交ダンス教授所は1971年から)
- 2016年4月からカラオケ教室、ボーカルレッスンを含む歌謡教室
以上の経緯から明らかなように、同じ音楽教室でありながらカルチャーセンターで行う楽器教室や歌謡教室については使用料をお支払いいただいている一方、楽器教室のみがお支払いをいただけていないというのが現在の状況です。既に使用料のお支払いをいただいている各種教室の事業者との間の公平性を確保する観点からも、これ以上、楽器教室の使用料徴収の開始を遅らせることはできないと考えております。
との事でしたので、
「音楽教室内で楽曲を教材として使用する場合にも、楽曲の使用料の支払いを命じるという事です」
ここで難しいのが、教育目的、営利目的ではない場合は、著作権料の支払いはなしとしている事。
著作権法第38条第1項
ここでは、以下の3つの要件を全て充たしている場合には、権利者の許諾を得ることなく演奏できると定めています。
(1)営利を目的としていない
(2)聴衆または観衆から、入場料等の料金を徴収しない
(3)演奏者等に報酬が支払われない
とあります。
ジャスラックの見解としては、音楽教室は営利目的の教育とみなしているので、このようになります
ジャスラックのHPより抜粋
上記の3要件を全て充たしている場合は演奏権は及びませんが、その1つでも該当しない場合は許諾を得ていただく必要があります。よって、営利事業である音楽教室での音楽著作物の演奏利用には演奏権が及ぶこととなります。
そして混同してはいけないのが、
学校、もちろん義務教育の場では該当しないという事。
ジャスラックのHPより抜粋
学校教育法に基づく学校、専修学校、各種学校のほか、学校教育に類する教育を行うもので、当該教育を行うにつき他の法律に特別な規定のある保育所や省庁大学校において、授業の過程で著作物の利用が行われる場合については、著作権法第38条第1項の規定に基づき、著作物使用料を支払う必要はないことから対象ではありません。
現状はというと
ジャスラックHPより
予定していた2018年1月からの使用料規定の実施は一時保留することとなりました。具体的な開始日は裁定があってから速やかにお知らせいたします。
という事でした。
今後、個人のお教室にも著作権料徴収となるか???
この件を取材し、記事を書いていた新聞記者さんから
突然お電話を頂きました。
「個人のお教室ではどのようにお考えですか?」
という事で新聞記者さんとお話する機会がありました。
私の意見は、
知的財産を守る事は大賛成です。守られるべきです。
ただ、お教室運営の立場からすると、いろいろな手続きが必要となるのなら
その楽曲を演奏する事のハードルは、確実に高くなる、、、、涙
と申し上げました。
個人のお教室の先生は、
普段のレッスン時間以外に
- 教材研究
- 事務作業
- 自らの技術の探求
- 発展し続けるピアノ教育の勉強
と多くのやらければいけない事と格闘しています。
自分の練習時間をもっととりたいけれど、時間がなかなかとれない
という嘆きをよく耳するくらいです。
私も、日々
たくさんの子供たちが、音楽を楽しめるようになって欲しいという願いで教室を主宰しています。
はっきり言って、営利目的といわれると、反論したい現状です。
私とご縁のあった人たちに、私が今まで培ってきた経験や技術、知識を少しでも還元、貢献したいという思いで行っている小さなお教室です。
上手にピアノを弾くためには、そのために必要な知識、技術が必要です。
それを身につけて欲しいという思いでやっています。
もし、JASRAC絡みでいろいろな支払いや手続きが増える楽曲があるのならば、生徒への負担を強いなければならなくなってしまいます。
著作者の死後50年を経過して著作権の消滅した曲は、対象外です。
ですので、そういう曲ばかりを選ぶ事になってしまうかもしれません。
それは、著作者にとって、本当にいい事なのでしょうか?そこは、慎重に進めるべき点なのだと思います。
お教室運営の立場としては、ピアノを習う機会が万人にあればと切に願っています。
経済的負担が増える事が、いい事なのか、
それによって、ピアノを習う事を諦めなければならない生徒が、もし出てきてしまうのなら、私は悲しいです。
今の所、個人お教室へは対象としないとなっています。
ジャスラックHPより
回答>>>楽器メーカーや楽器店が運営する楽器教室の管理水準が一定のレベルになるまでは、個人教室を管理の対象としません。もっとも個人教室にもいろいろあり、将来的に対象として考えているのは、ホームページなどで広く告知や広告して不特定多数の生徒を常時募集しているような場合を想定しています。
でもこれは、あくまでも現状の回答です。
音楽は人を癒す力をもっています。
誰しもが楽しむためにあるものです。
音楽教育を担う一人として、今後の動きが本当に心配です。
今回は、ヤマハやカワイ、島村楽器など大手音楽教室が一丸となってつくられた
予定していた2018年1月からの使用料規定の実施は一時保留することとなりました。
音楽を生み出す人も、楽しむ人も
全ての人にとって、HAPPYな解決策へと進む事を望む一人です。